タカラトミーさんに
”まごころ”を聞いてみた

後編:高城さんがおもちゃに込めた“まごころ”とは

―ここで、高城さんご本人について伺っていきます。
元々おもちゃ業界を希望されていたんですか?

そうです。アイデアを形にして、誰かに喜んでもらえるという点に惹かれて、おもちゃ業界を目指しました。子ども時代は絵を描くのが大好きで、誰かのために描いた絵を喜んでもらえたことが、原体験になっているのかもしれません。
ちなみに、タカラトミーが第一志望でした。

―すごいですね。小さいころからおもちゃが好きだったんですか?

子どもの頃、トミカとプラレールをたくさん持っていました。その中でも、はたらく車が一番好きだったみたいで、実家には握りしめている写真が残っています。今の自分の原点なのかなと思っています。

―ずっと開発を?

最初は、マーケティングチームでした。その後、企画開発をやっています。もうずっと、トミカ・プラレール関連を担当しています。

―これまではどんなおもちゃを手掛けてこられたんですか?

トミカを使って遊ぶ、大きなサイズのセット商品が多かったです。緊急出動のボタンを押すと、変形してたくさんのトミカのパトロールカーが飛び出してくる警察署※1とか、トミカをいっぱいのせて走るラジコンカー※2などを手掛けてきました。

※1 ぐるっと変形DXポリスステーション【日本おもちゃ大賞2021 ベーシック・トイ部門】
※2 大回転発車!リモコンビッグキャリアカー

―シリーズ展開だからこそ、気を付けている事はありますか?

開発担当としては、次にどんな車が出たら楽しいだろう、どんな車がロボットになったらワクワクしてもらえるだろうという所を一番考えて、ラインナップしているんです。だから、一つ一つ、ロボットになったときのシルエットを全然違うものにしています。
シリーズだからこそ、それぞれの個性をしっかり出していきたい。色味も、フォルムも違うという所はこだわっています。

―大変じゃないですか?

めちゃくちゃ大変です(笑)。車からロボットへどう変形させるかという機構を一から考えるという作業が、ロボットの数だけあるわけです。もっと楽をする方法もあったんだとは思いますが、そこは譲れませんでした。
大変ではありましたが、頑張った甲斐もあって、集めたくなるロボットになってくれたんじゃないかなと思っています。

―念願の会社に入って、好きなものを仕事にされていて、難しいことはありますか?

もどかしさを感じることはありますね。やはり開発としては、もっともっとこだわりたいと思うのですが、そこで立ちふさがるのがコストとの勝負です。
今回のジョブレイバーもかなりのチャレンジでした。今まで、トミカで創ってきたロボットシリーズは、高価格帯のものでした。ですので今回、2000円台のロボットというのは、買いやすいシリーズにできたんではないかと思っています。頑張った甲斐があったかなと。

―もともとその価格帯を狙っていた?

初期構想の段階で考えていました。これまでの高価格帯のおもちゃは、どうしても、お誕生日やクリスマスなど、記念日に買っていただく事が多かったんです。でも、今回のシリーズは、記念日じゃない日でも手に取りやすい価格帯で、シリーズでファンになっていただきたいというのがありました。
本当はこのパーツも塗装にしたいなと思っていても、コストとの兼ね合いで、シールにしたりしました。でもそこは工夫して、お客様自身が選んで貼っていただく、楽しんで頂けるものにしました。

―譲れないポイントは?

自分が良いと信じたアイデアは、異議が出たとしても曲げないようにしています。実は、今回の「ジョブレイバー」というシリーズ名も、社内では賛否両論あったのですが、今回のロボットのコンセプトや、一回で覚えてもらえる響きが良いと信じていたので、信念を貫き社内を説得しました。

―お客様に選んでいただける、ファンになっていただくために、どういう取り組みをされていますか?

先ほどもお話した、エゴサーチもそうですが、お客様の生の声をキャッチするようにしています。
日々、おもちゃ店にも足を運ぶようにしています。どういうおもちゃが、どの様に並べられていて、お客様が何を手に取られているのかを、見に行きます。他社のおもちゃも気になります。

―自分とは違う世代である子どもたちへ、魅力あるおもちゃを届けるために気を付けていることはありますか?

やはり、自分がちゃんと格好良いと思っているかどうかだと思います。そう思って創った方が、想いが伝わると思っていますし、伝わるといいなと思っています。
小さい頃に私自身が見聞きしてきた、おもちゃやヒーローが、やはり自分の根幹にあると思っていて、その感性を落とし込んで、子どもたちに伝えていきたい。そう思いながら創っています。

―ここは「まごころ研究所」なので、この質問を。
おもちゃ創りにおける“まごころ”とは何だと思いますか?

”まごころ”とは、子どもたちにどうやったら喜んでもらえるかというのを、絶えず考え続ける事だと思います。

子どもたちが遊びやすい創りにするための試行錯誤や、工程はコストがかかったとしても、削りません。それ以上に、安全に遊んでもらえるために必要なものは、絶対に譲りません。
その時代に合わせたものを創って行きたいと思いますが、その一方で、普遍的な格好良さや面白さがあると思うので、その時代時代の子どもたちにとって何か良い思い出になってくれたら良いなと思って頑張っています。

―今後の夢はありますか?

ずっと、おもちゃを創り続けたい、おもちゃに関わり続けていたいですね。
今回のジョブレイバーは日本の子どもたちにとって、身近な実在感を目指しましたが、いつかは、世界中の子どもたちにとってそういう存在のおもちゃにも取り組んでいけたらと思っています。
これからも、子どもたち一人ひとりの宝物になるような、愛してもらえるおもちゃを創って行きたいです。

ありがとうございました。
タカラトミーグループのサステナビリティビジョン「世界中の子どもたちと友だちになる」にぴったりのおもちゃを、これからも楽しみにしています!

©TOMY

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