タカラトミーさんに
”まごころ”を聞いてみた

2022年に発売開始された「トミカヒーローズ ジョブレイバー 特装合体ロボ」シリーズ。おもちゃだけではなく、アニメ「ジョブレイバー」も展開され、子どもも大人もわくわくするシリーズが進んでいます。サカイ引越センターの引越トラックも、第9弾「キャリーブレイバー」として、このシリーズにラインナップされました。今回は、その開発に携っておられる、株式会社タカラトミー トミカ事業部 企画開発課 主任の高城雄太さんにお話を伺いました。

前編:ジョブレイバー誕生ストーリー

―よろしくお願いします。まず初めにお礼を。ジョブレイバーのラインナップにサカイ引越センターの引越トラックを加えていただいて、ありがとうございました

実は、オファーするのに結構勇気が必要だったんです。御社のトラックをロボットにさせて下さい!というご提案だったので(笑)

―そんなことないです。みんな喜んでいます

ありがとうございます。

―なぜ声をかけて下さったのですか?

サカイ引越センターの引越トラックは、街で見かけても目立つシンボリックな車で、子どもたちが「あ、パンダだ!」と言いたくなるキャッチーさがあり、お引越の現場も良く目にするので、子どもたちにも馴染みや人気もあるのではと思いました。
実際に調査をしてみても予想通り、子どもにとってかなり好感触だったのでお声がけさせていただきました。

―このジョブレイバーシリーズの企画はどのようにして立ち上がったんですか?

私が所属する「トミカ事業部」で製作しているダイキャスト製ミニカー「トミカ」シリーズは、世代を問わず愛していただけるブランドですが、メインターゲットは未就学のお子様で3歳前後から。乗り物好きでトミカファンだったお子様も、4歳、5歳と年を重ねていくと、ゲームや他の物にも興味が出て来て、卒業タイミングになるんです。

我々としては、年を重ねても長く遊んでもらえるようなおもちゃを創りたいという想いがあって、いくつかのシリーズを展開してきました。その中で今回、“今までやっていないギミック(仕掛)を”という所から思いついたのが「乗り物を着る」というコンセプト。それが、ジョブレイバーです。

―コンセプトをどう形にしていったのですか?

新しいシリーズを立ち上げるにあたって、まずはプロジェクトメンバーで様々なアイデアを出し合って、どんなギミック(仕掛け)や、モチーフが良いかを話し合いました。その中で決まったモチーフが「はたらく車」「お仕事」でした。

子どもたちにとって、身近で憧れの存在である「はたらく車」がモチーフだからこそ、最も大切にしている軸が「実在感」です。
子どもたちが街中で車や働く人を見たときに、ジョブロイドが居るかもしれない、車と合体してロボットになるかもしれない!と思ってもらえるか、という所を考えながらデザインや設定を創っています。パトカーや消防車、救急車、そしてサカイ引越センターの引越トラックも含めて、街中で見かける機会の多い車を選んでいきました。

―どういうステップで製作されているのですか?

まず、どの車にするかを決めて、実際に車の試作を創ります。その後、その車の形状か
ら、どうやってロボットに変身させていくのかを考えながら、ロボットのデザインを起こして、実際子どもたちに見てもらって調査を行います。その反応を見て、デザインをどんどん絞りこんでいきます。
デザインが決まったら、今度はロボットの試作を創って、また子どもたちに遊んでもらい、その反応を見ながら創り上げていく、という形です。
プロジェクトがスタートしてから商品化するまで、1年半くらいかかりました。

―先ほどのお話にあった「実在感」を出すために大切にしているポイントは?

そうですね。やはり、車のプロポーションは、街中にある実在の車のイメージを崩さずに創って行くところです。車のモチーフや仕事のテーマを消さずにどうすれば変形させられるか、格好良く見せられるかを大切にしています。

例えば、サカイ引越センターの引越トラックだったら、トラック側面のパンダマークが一番目立つので、ロボットに変身した後も、足の一番目立つ所に来るように設計しました。
こだわりは他にもあって、それぞれのお仕事にリンクするものを、ロボットのアイテムにしています。パトカーだと鉄砲、消防車だと消火器をモチーフにしています。
引越トラックは、運ぶときに身に着けるグローブをロボットにも装着して「GTグローブ」と名付けました。ネーミングも「格好良い」と思ってもらえるようにこだわっています。
そして、このジョブレイバーの特徴でもある、ジョブロイドというお仕事ロボについても、その車やお仕事が伝わりやすいモチーフにしたかったので、耳をつけてよりパンダっぽさを出しました

引越トラック「キャリーブレイバー」の設計図

―パンダ耳のジョブロイド「kokoro」くんは、元々、違う設定でしたね

そうですそうです。元は、関西弁を話す「まいどくん」という設定でした。でも、お話をさせていただく中で出来上がって行った今の「kokoroくん」は、ほんわかした雰囲気で、すごく可愛らしくなりました。

―アニメはどのように創られているのですか?

ロボットの形態が決まったら、そこからアニメCGを創って行きます。同時に、開発チームとマーケティングチームで、ジョブレイバーの世界観や、そのロボットがどう活躍するのかというヒーロー像のイメージを、どんどん膨らませていきます。その出来上がったイメージを基に、マーケティングチームがアニメとして創り上げて行きます。

―発売後、反響はいかがですか?

アニメ公開から48時間というのを一つの指標にしているんですが、初期のアニメに比べると、シリーズが進む毎に再生回数も伸びてきていて、今は倍近くになっています。それぞれの商品の魅力もそうですが、ジョブレイバーシリーズにファンが付いてきてくれているのかなと思っています。
発売後はずっとSNSでエゴサーチしているのですが、その中で、ジョブレイバーの箱
を抱えているお子さんの写真等を見つけると、嬉しくて涙が出そうになります。
お客様からのアンケート回答も、隅から隅まで全部読んでいます。こういう所を楽しみにして買ってくださったんだとか、こうやって遊んでくれているんだなって。そのお客様一人一人の声が、やる気につながりますし、次のラインナップへのひらめきにつながって行っていると思います。
©TOMY

タカラトミー公式HP
トミカヒーローズジョブレイバーHP
JB09 キャリーブレイバー サカイ引越センター 引越トラック

(インタビュアー:嶋田和代)

次回>>後編:高城さんがおもちゃに込めた“まごころ”とは(5月8日公開予定)

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