いろんな国の
「まごころ」事情に迫ってみた。

「まごころ」って、日本独自のものなのでしょうか?それとも万国共通のもの?何となくそんなことが気になり、さっそく調べてみることに。そもそも日本人が感じている「まごころ」と同じようなものが、他の国にもあるのか。あるとすればどんなシチュエーションで使用されているのか。そのあたりのことを中心に日本に長く住んでいらっしゃる外国人の方々に、話を伺ってみました。

まずはヨーロッパを見てみましょう。イタリアにはpremurosa(プレムローゾ)という言葉があり、「まごころ」は込めるというよりも存在するもの、essere premuroso(まごころがある、思いやりがある)という風に使います。使い方は日本と同じみたいですが、この言葉を使うシーンとして最もイメージされるのが、男性から女性へ感謝の気持ちを込めて花束を贈るという状況なのだそうです。情熱的な男性が多い、イタリアらしい「まごころ」ですね。一方、ロシアでは、Чистосердечие(チスタセルデチエ)という言葉が「まごころ」に相当します。「まごころ」は発言や態度の中に現れるもので、言いにくいことを、隠さず正直に言うときに使用します。騙したりや裏切ったりする言動や行為の対極にある、本音という意味合いの強い言葉のようです。米国ではsincerity(シンシアリティ)という単語が「まごころ」という意味で使われています。感謝だけでなく、謝罪の気持ちも込めることがある言葉のようです。同じ英語でも、オーストラリアでは、heartfelt(ハートフェルト)と言います。直訳すると「心からの」という意味ですが、単独ではあまり使用せず、heartfelt thanksやheartfelt messageなど「まごころ」の込めたものとして、名詞にすることが多いそうです。

お隣の国・韓国では「まごころ」のことを진심(ジンシム) と言い、日本と同じように、おもてなしなどの際に使われるようです。また、ロシアと同様に本音という意味もあり、正直に話を打ち明けたりするときにも使用されています。ユニークなのは「まごころ」は込めるものではなく、盛ったり入れたりするものだということ。韓国では、胸や心は器のようなものだと考えられていて、その中に「まごころ」を盛る、例えて言うなら、カゴにフルーツを盛るような感覚があるのだそうです。

地球の反対側、南米ブラジルの様子も見てみましょう!公用語であるポルトガル語には、de todo coração(デ トウド コラサウン)という表現があり、これが「まごころ」にもっとも近い表現とのこと。この言葉、直訳すると「心のすべて」という意味。ブラジルではプレゼントを渡す際に使われるそうで、たとえそのギフトがどんなに些細なモノであっても、「心のすべて」で選びました、と相手に誠意が伝わるようにこの言葉を使うのだそうです。また、自分の子供に「心のすべて」で愛するという表現を用いたりします。この上ない愛情を表わすときに使用するという点は、日本の「まごころ」よりも情熱的な使われ方ですね。ブラジルならではと言うか、お国柄なのでしょうね。

今回の調査でわかったのは、多くの国で「まごころ」は、胸や心臓のあたりに存在し、それを感じる場所も同じ胸や心臓のあたりということ。地域や言葉は違っても、心と心のキャッチボールこそが「まごころ」の本質というのは万国共通のようです。

※調査結果は、日本在住のイタリア人、ロシア人、アメリカ人、オーストラリア人、韓国人、ブラジル人の方々へのヒアリングによる。

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